元地球惑星科学専攻所属・名誉教授 山路 敦
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春は花粉アレルギー。年を取ったせいか3月のスギ花粉にはあまり反応しなくなったが、4月のヒノキ花粉のほうがだめで、中年になってからは毎年のように咳ぜんそくを発症して初夏までそれが続いていた。しかしこの3月に定年退職となり、それが勘違いだったと思うようになった。4月にほとんどアレルギー症状がなかったのだ。咳ぜんそくにまでなったのはヒノキ花粉のせいではなく、スギ花粉で弱くなった呼吸器に新学期になってチョークの粉塵で止めを刺されていたせいだと思う。退職して2か月あまり、よく眠り健康に過ごしている。
私の専門は地質学で、野山を歩いて断層やマグマが貫入してできた岩石などを観察し、研究室で考えたことを検証したり、考案した新手法のためにデータを収集したりする研究だった。それゆえ、理学研究科でフィールドワークが軽視されていなかったのはありがたかった。そうしたスタイルの教育研究だったが、大きな事故なく現役時代を終えることができたのは本当に幸せだったと思う。
上記の研究スタイルは、退職しても続けることができる。さいわい科研費が残っているので、国内のあちこちに調査に行こうと思う。すでに4月には九州にでかけ、科研費の課題を遂行しつつ、新たに火山学の論文を書く材料を仕入れることができた。また、教科書の出版やら学会の運営やらで、予想外に忙しい。ある人によると、退職しても、たまっていたデータで論文を書くなど現役時代の延長のような生活が幾年か続くが、それがひと段落して第二の定年となるとのこと。研究のほうはだんだん縮小してゆくにせよ、その時々を楽しんで過ごしたいと思う。